No place to go

どすこい音頭。

さかさまの世界、空へ落ちて。

小野さんのミニアルバム「Doors」、購入。

料理しながらヘッドフォンでリピートで聴いていたのだが、どの曲も、まるで初めて聴いた曲とは思えないぐらい、耳馴染みがよかった。聴きやすい、というのが第一印象だった。

小野さんご本人から離れてしまっているところがあって、この作品にかんする雑誌のインタビューなどはよんでいないのだけど、どの曲も「あ、過去のあの曲っぽいな」っていうのを直感の匂いでかんじて。すごく集大成感をかんじた。

で、実際、以前されたインタビューをよんでみたら、やっぱり「集大成」ということらしくて。

全体的にスッキリまとまっていて、小野さんの音楽に初めてふれる人にも聴きやすいと思ってもらえる、オススメできるアルバムなんじゃないかと思った。

(以下、歌詞の内容とかではなく、ただ聴こえてきてる音に対する印象)

 

4曲目「teardrops」、何度か聴いていると、なんやろう…この ぐっと胸押されて喉から息ができなくなるかんじ…と思い始めた。

サビに来たときに、特にその 途端に押し寄せる 息がくるしくなるかんじがあった。

かなしいメロディの曲ではないのに、なんでだろう、ともんもんぐるぐるした。そこで、すでに聴いた方とすこしお話してたら、歌い方のせいではないか、ということになった。たしかに、そんな感じもした。

でも、いままでの同じテイストの楽曲の歌い方と聴き比べても、特にすごくテクニックでどうこうしてるとか、あきらかに歌い方を変えているとか、そういうわけでもなくて、やっぱり気になるばかりだった。

ただ、何度も聴いていて思ったのが、完全にねっとりしていないかんじというか、歌い方が「感情をこめすぎずに客観的に少し一歩引いてうたっている」ように感じられてきた。

 

このことを考えているとき、以前ツイッターで見かけた、八代亜紀さんの銀座のクラブ歌手時代のはなしを思い出した。

 

「先日八代亜紀さんのトークで、歌に気持ちを込めてはだめなんだと言っていて、その理由に納得。聞き手が感情移入するためには自分が主観で感情をこめてはだめだという旨」「銀座のクラブ歌手時代、感情を込めないで歌ったらホステスさんたちが急に感動して泣き出したのが原体験なんだそうです」

 

このことは、ライブに行くとよく思い出したりするけど、小野さんの今回のこの曲の歌い方に関しても、同じことが言えるのかな、と思った。感情をこめすぎず客観的に少し一歩ひいている?だから、響くのかなと。

同じ系列の話で、曲のアレンジがいかにも「かなしみ」をおびて提供されるのではなく、かわいらしく、優しく、イントロから電子音的なものが多く使われていて、愛をつたうコーラスも少し機械がかった音にされることで、逆にかなしさがますような気がするという。感情移入してしまうという。

 

「雨音」とのリンクもあるようで、前日譚でしょうか。後日譚ともとれるようですが。
歌い方と曲のあいだの、距離の置かれ方は、確かに後日譚っぽいけど、歌詞の内容がほぼ現在進行形ってなると、前日譚でありつつ、ある日起こったできごとを数日後にふっと思い出してる感じなのかな。
それとも、後日譚で、「雨音」のときからだいぶ年月が経って、たとえば寝てるときの夢のなかに過去の思い出が「現在進行形」としてフッとでてきて、その思い出をたどって行ってる感じなのかな。

 

(追記:フォローさせてもらっている方のブログをチラッと読みに行ったら、この辺りのことにかんして「これは、後日譚なのでは」という話があって。なぜかというと「『その場』にいるような現実感が遠い」とのことで、これって、すこし表現のしかたがちがうだけで、私のかんじた「主観ではなく一歩引いた客観的な歌い方」とか、その辺りと感じたことが近いのかもしれないな、と思った)

 

とにかく、歌声やアレンジから、アスファルトに落ちた雨粒が光ってはねている様子がすごく思い浮かぶ とても良い曲でした。

 

1曲目「Key of the mirror(inst.)」、
ブラスのパッパラ感が、テーマパークの入場待ちをしているときのようなワクワク感!

 

2曲目「パノラマ・ミラー・ツアー」、
ハッキリ歌詞のことばを発してるところとかの歌い方がかわいらしかったりで、自然に口角があがって笑顔になれる曲だなぁと思った。クルクルめくるめく旅にばびゅーんと連れていかれるような、楽しさあふれる曲。

 

3曲目「宇宙全時代Discotheque」
最初、タイトルきいたとき、もっと惑星自体がミラーボールになってるみたいな、宇宙まきこんだバカ騒ぎのフザケたナンバーになってるのかと思ったけど、全然そんなことなかった!(笑)
盛り上がれるけど、しっとり落ち着いた大人感もあるというか…ふつうに、シュッとかっこいいダンスナンバーでした。。洗練されてる感。
サラッときき流してるときでも、「縛りつけたい重力より」のところの、キュッとしぼりだした歌い方にいつも耳が吸い寄せられて。あ、ここの歌い方好きなのかな、と思った。
ライブのとき、どんな世界観がステージ上の演出で再現されるのか、たのしみなナンバーだな~と。

 

 5曲目以降にかんしては、またそのうち追記を。

 

Doors(DVD付)

Doors(DVD付)